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建設業許可申請で必要な「登記されていないことの証明書」とは

建設業許可を申請するとき、添付が求められる書類の一つが「登記されていないことの証明書」です。これは、法務局が管理する「後見登記等ファイル」に、申請者が成年被後見人や被保佐人として記録されていないことを証明するものです。
建設業法では、欠格要件の一つとして、これらの登記がされている者は許可を受けられないと定められています。この証明書は、その欠格要件に該当しないことを示すために必要です。

なお、対象は個人事業主本人や法人の役員等だけでなく、従たる営業所の令3条使用人にも及ぶ場合があります。自治体の案内を確認し、必要な全員分を準備しましょう。

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身分証明書との違い

似た書類に「身分証明書」がありますが、役割は異なります。身分証明書は本籍地の市区町村が発行し、禁治産・準禁治産(旧制度)や後見登記、破産手続開始の通知を受けていないことを証明するものです。住所や氏名などを確認する本人確認書類ではなく、欠格要件に関する証明です。
一方、「登記されていないことの証明書」は法務局が発行し、後見登記等ファイルに成年被後見人や被保佐人としての記録がないことを示します。両者は発行元も内容も異なるため、混同しないよう注意が必要です。

有効期間の考え方

この証明書には法律上の有効期限はありません。しかし、建設業許可申請の添付書類としては、多くの自治体が「発行後3か月以内」のものを求めます。これは、発行後に状況が変わる可能性を考慮し、最新情報を提出する必要があるためです。
申請前には必ず発行日を確認し、直近で取得した証明書を提出しましょう。

取得方法と申請先

窓口での取得

全国の法務局または地方法務局の**本局(戸籍課)**で申請します。支局や出張所では取り扱っていないため注意してください。
申請書は法務局窓口で受け取るか、法務局の公式サイトからダウンロードできます。記入した申請書に手数料分の収入印紙(1通300円)を貼付し、窓口に提出します。本人確認書類(運転免許証やパスポートなど)が必要な場合があります。

郵送での取得

郵送申請は、全国どこからでも東京法務局 後見登録課が一括して受け付けます。申請書、手数料分の収入印紙を貼ったもの、本人確認書類のコピー、切手を貼った返信用封筒を同封して送ります。郵送期間を考慮し、余裕をもって手続きを行いましょう。

オンライン申請について

現在、この証明書についてはオンライン申請はできません。窓口か郵送のいずれかで手続きします。

申請書の記入ポイント

申請書の「証明を受ける方」欄には、氏名と住所または本籍のいずれかを省略せずに記入します。記載内容がそのまま証明書に転記されるため、誤記があると訂正のために再手続きが必要になります。本籍を記入する場合は、本籍記載ありの住民票で事前に確認しておきましょう。

範囲の選択について

申請時には証明する範囲を選びます。建設業許可では、通常「成年被後見人・被保佐人に関する記録がないこと」を選択すれば足ります。自治体によっては指示が異なる場合があるため、必ず確認してから手続きしてください。

スムーズな申請のために

「登記されていないことの証明書」は、建設業許可の欠格要件非該当を証明するための重要な書類です。申請先や取得方法、発行日、有効期間の目安を押さえ、必要な人数分を正確に準備することが、スムーズな許可取得につながります。
不安がある場合は、行政書士などの専門家に相談するのも有効です。複数の事務所から見積りを取り、サービス内容と料金を比較しながら、納得できる形で手続きを進めましょう。

監修者プロフィール

西條 朋美(にしじょう ともみ)
行政書士
長野県行政書士会所属
MACKコンサルタンツグループ 小林行政書士事務所

制度を正しく理解し、事業者の皆さまが安心して事業を継続できるように——。そのお手伝いをするのが行政書士の役目です。建なびでは、読者に寄り添った解説を心がけています。ぜひご活用ください。

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