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建設業許可とは?制度の仕組みから取得メリット・活用方法まで徹底解説

建設業許可とは、一定以上の規模の建設工事を請け負うときに必要となる「国や都道府県からの許可」のことです。許可を取ることで、公共工事に参加できたり、会社としての信頼性が高まったりと、さまざまなメリットがあります。

この記事では、建設業許可の基本から申請方法、許可を取った後の活用方法まで、はじめての方でも理解できるようにやさしく解説します。

目次

建設業許可の基礎知識

建設業許可とは?なぜ必要なの?

建設業許可は、国の法律「建設業法」にもとづいて設けられた制度です。目的は、きちんとした工事を行うことと、発注者(仕事を頼む側)を守ることにあります。

例えば、家を建てる、ビルをリフォームする、大きな配管工事をする……そんな本格的な工事を受けるには、この許可が必要となります。

なぜ必要なの?

  • 公共工事(国や市が発注する仕事)に参加できる!
  • お客様や銀行からの信頼度アップ!
  • 「この会社なら安心」と思われることで仕事の幅が広がる!

逆に、許可を取らずに大きな工事を請け負ってしまうと、法律違反となってしまい、罰則を受ける可能性も……。

つまり、建設業許可は「ちゃんとした建設会社ですよ!」という信頼の証なんです。

許可が必要となる工事の規模

以下のような工事を請け負う場合、建設業許可が必要になります(消費税込みの金額です):

  • 建築一式工事(家やビルの全体工事など):1件で1,500万円以上、または延べ面積150㎡を超える木造住宅
  • それ以外の工事(電気・水道・内装など):1件で500万円以上

小さなリフォームや修繕工事なら許可がなくてもOKですが、工事金額が大きくなると許可が必要です。

許可の種類と区分も知っておこう

建設業許可には、いくつかの種類があります。大きく分けると次の2つの視点から区別されます。

知事許可と大臣許可の違い

建設業許可には、実は2つの種類があります。どちらが必要かは、営業所の“数”と“場所”で決まります。

  • 知事許可:営業所が1つの都道府県だけにある場合
  • 大臣許可:2つ以上の都道府県にまたがって営業所がある場合

具体例で見てみよう!

  • 東京都に本社があり、神奈川県にも支店がある → 大臣許可が必要!
  • 東京都内に本社と支店がある → 東京都知事の許可でOK!

大臣許可だからといって大きな会社だけが対象というわけではなく、あくまで“営業所がどこの都道府県にあるのか”がポイントです。


一般建設業と特定建設業の違い

もうひとつの区分が「一般」か「特定」か。これは、工事の金額や下請けの有無に関係します。

  • 一般建設業:小~中規模の工事。下請に出す金額が4,500万円未満(建築一式は6,000万円未満)
  • 特定建設業:大きな工事で、下請けに出す金額が4,500万円以上(建築一式は6,000万円以上)

特定許可はハードル高め

特定建設業は、たくさんの下請けさんを使う前提のため、より高い技術力と管理体制が求められます。 専任技術者の資格要件も厳しくなるので、取得にはしっかり準備が必要です。


許可が不要な「軽微な工事」って?

全部の工事に許可が必要なわけではありません。以下のような“小さな工事”は、法律上、許可がいらないとされています。

  • 建築一式工事:1件の請負金額が1,500万円未満、または150㎡未満の木造住宅
  • その他の工事(内装、電気、塗装など):1件500万円未満

※注意:この金額には消費税も含まれます。

工事を分けたらセーフ?→それ、NGです!

たとえば、「この工事は500万円だけど、分割して250万円×2にしちゃおう♪」なんてやると……バレます。 これは「実質的にひとつの工事」と見なされ、違法行為となる恐れがあります。


軽微でも許可が必要なケースがある?

実は、軽微な工事でも以下のようなケースでは許可が必要になる場合があります:

  • 建築確認申請が必要な建物の工事
  • 消防設備の設置工事
  • 電気工事や上下水道工事(専用の資格や制度が必要)

これらは、金額に関係なく「専門性の高い仕事だから許可が必要」とされるケースです。

建設業許可を取るために必要な条件

建設業許可を取るには、次のような条件を満たしている必要があります。

人的要件:適切な経営体制と専門技術者がいること

  • 経営業務の適正な管理体制
    2020年の法改正により、「経営業務の管理責任者」という役職はなくなりました。その代わり、会社の役員などが適切な経営体制を整えていることが求められます。
  • 専任技術者の配置
    営業所ごとに「専任技術者」という資格や経験を持った人を配置する必要があります。建築士や施工管理技士、一定の学歴と経験を持つ人が該当します。

財産的要件:資金面の安定があること

  • 500万円以上の資金を持っているか、調達できることが条件です。
    銀行の預金残高証明や融資証明などで確認されます。
  • 「自己資本500万円以上」は要件ではないが、審査上プラス評価される場合あり。

その他の要件

  • 欠格事由に該当しないこと(過去に刑事事件や行政処分の経歴がある場合、許可が取れないこともあります。)
  • 営業所を設け、常時連絡が可能な状態であること など

建設業許可の取得と申請方法|どうやって申請するの?

申請先は、会社の営業エリアによって異なります。

  • 都道府県知事許可:その都道府県の建設業課など
  • 国土交通大臣許可:国の地方整備局など

準備する主な書類:

  • 許可申請書
  • 経営業務体制や専任技術者の証明書類
  • 決算書や残高証明書等の財務書類
  • 法人登記簿謄本・定款(法人の場合)

※書類は多く、内容も専門的なので、行政書士に相談する方がスムーズです。

許可取得によるメリットと留意点

メリット|許可を取ると何がいいの?

1. 公共工事の入札に参加できる

国や自治体の発注する公共工事は、規模が大きく、安定した収益が見込める魅力的な案件です。建設業許可がないと、原則入札に参加できません。さらに、入札には「経営事項審査(経審)」という評価制度の点数も必要です。

2. 信頼度アップで仕事が増える

建設業許可を持っていることで、技術や経営力を備えている会社として信頼されやすくなります。取引先や金融機関からの評価も高まり、仕事のチャンスが広がります。

3. 会社の成長にもつながる

許可を取得したことをきっかけに、事業を拡大したり、新しい業種や地域にチャレンジしたりすることも可能です。名刺やパンフレットに許可番号を記載することで、営業ツールにもなります。

デメリット|ただし、維持にはコストと手間も…

  • 許可は5年ごとに更新が必要です。
  • 会社の情報が変わった場合は、都度「変更届」を提出しなければなりません。
  • 「経営事項審査」は毎年受ける会社も多く、準備に手間がかかります。
  • 法令違反があると、最悪の場合、許可が取り消されることもあります。

まとめ:建設業許可は信頼と成長の第一歩

建設業許可を取ることは、ただの“義務”ではなく、会社の信頼性を高め、より大きな仕事にチャレンジできる“チャンス”でもあります。

取得や維持には手間がかかりますが、それ以上に得られるメリットは大きいものです。ぜひ、今後の事業展開に向けて、建設業許可の取得を前向きに検討してみてください。

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