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【完全版】塗装工事業で建設業許可を取得するには?資格・手続き・成功のポイントを徹底解説

建設業許可のなかでも「塗装工事業」は、建物や構造物の美観と保護を両立させる重要な業種です。本記事では、塗装工事業の許可取得に必要な資格や要件、申請の流れ、そして取得後のメリットまで、最新の法改正に基づいてわかりやすく解説します。これから塗装業で許可取得を目指す方は、ぜひ参考にしてください。

目次

塗装工事業とは?建設業許可29業種のひとつ

建設業許可には29業種があり、「塗装工事業」はその中の専門工事業に含まれます。塗装工事は、住宅やビルの外壁・屋根の塗装、橋梁や鉄塔などの鋼構造物の塗装などが中心で、美観維持だけでなく、腐食・劣化から構造物を守る役割も担います。

国土交通大臣または都道府県知事から建設業許可を受けることで、500万円以上の工事を受注可能となり、公共工事への入札資格も得られます。顧客からの信頼性向上、事業の拡大にも直結するため、許可取得は極めて重要なステップです。

塗装工事業で対応できる工事の例

  • 建築物の外壁・屋根・内壁・天井の塗装
  • 鋼構造物(橋梁・鉄塔など)の塗装
  • 道路標識・ガードレール・遊具など公共構造物の塗装
  • 断熱・遮熱など機能性塗料を用いた塗装工事

※ 家具や建具の塗装など、建築現場外での製品塗装は建設業の「塗装工事業」に該当しない場合があります。

元請・下請における塗装工事の役割

塗装工事では、元請業者が工事全体の計画・管理を担い、下請業者が実作業を担当するケースが一般的です。元請業者は品質・安全管理を徹底し、下請業者の技術・管理体制の確認と指導も求められます。

下請業者は、元請との信頼関係を築き、丁寧な報告・連携を行うことが、良好な取引を維持する鍵となります。

許可取得に必要な要件

① 経営業務を管理できる体制の確保(※2020年改正対応)

従来の「経営業務管理責任者」は制度変更により廃止され、現在は「経営業務を管理できる体制」の確保が要件です。建設業の経営経験がある役員等を組織内に配置し、補佐的な立場でも経営を支えられる体制を整える必要があります。

② 専任技術者の設置(営業所ごと)

一般建設業の場合は、以下のいずれかを満たす者を常勤で配置します。

  • 一級建築施工管理技士(仕上げ)または二級建築施工管理技士(仕上げ)
  • 指定学科卒業後、塗装工事に関する実務経験3年以上
  • 塗装工事に関する実務経験10年以上

特定建設業では、下記のような高度な資格を有する専任技術者が求められます。

  • 一級建築施工管理技士(仕上げ)
  • 技術士(建設部門)など

許可申請の流れと必要書類

主な必要書類

  • 建設業許可申請書
  • 経営業務体制の確認書類(役員経歴書など)
  • 専任技術者の資格証明または実務経験証明書
  • 商業登記簿謄本
  • 財務諸表(直近2期分)
  • 納税証明書
  • 所属する営業所の写真や平面図
  • 使用人数や定款など(都道府県ごとの追加書類あり)

申請先・手数料・審査期間

  • 申請先: 営業所所在地の都道府県庁または地域振興局などの建設業担当窓口
  • 申請手数料:
    • 知事許可(一般)新規:9万円
    • 大臣許可(一般)新規:15万円
  • 許可取得までの期間: 約1〜3か月(書類不備があれば延長)

許可取得後の義務とメリット

【掲示義務】

許可取得後は、営業所や工事現場に「建設業許可票(いわゆる金看板)」を掲示する義務があります。

【変更届】

所在地・役員・資本金などに変更があった場合は、原則30日以内に変更届の提出が必要です。

【更新手続き】

許可は5年ごとに更新が必要です。満了日の3か月前から更新申請が可能で、更新を忘れると無許可営業となるため注意が必要です。

許可取得のメリットとは?

建設業許可を取得する最大のメリットは、なんといっても「事業の信頼性が高まること」です。塗装工事業では、軽微な工事(500万円未満)であれば許可がなくても受注できますが、ある程度の規模の工事や法人としての継続的な成長を目指すのであれば、許可の有無が大きな分かれ道になります。

まず、建設業許可を持つことで、500万円以上の工事を合法的に受注できるようになり、より規模の大きい案件にも積極的に参入できるようになります。これは、売上の拡大や業績の安定化を図るうえで非常に大きなポイントです。

さらに、許可取得は公共工事への入札資格を得るための必須条件でもあります。地方自治体や官公庁の仕事は、工期や報酬が明確で、安定性が高いため、多くの事業者にとって魅力的です。許可を取得することで、このような安定収入をもたらすビジネスチャンスへの扉が開かれます。

加えて、許可を持つ企業は、取引先や顧客から「コンプライアンス意識が高く、信頼できる会社」として評価されやすくなります。近年は元請業者や大手企業が下請業者の建設業許可の有無を重視する傾向が強まっており、許可を取得していない企業は入札・選定から外されるケースも少なくありません。

また、金融機関との関係性においても、建設業許可はプラスに働きます。金融機関は、許可を保有する事業者に対して「法令を順守して健全に運営している」との印象を持ちやすく、融資審査でも一定の安心材料となるのです。

さらに、人材確保の面でも効果があります。建設業においては、職人や管理技術者が「安心して長く働ける会社」を選ぶ傾向があり、許可を持っていることが採用活動での信頼性向上につながります。

このように、建設業許可を取得することは、単なる「制度上の通過点」ではなく、事業拡大・信用獲得・資金調達・人材確保というあらゆる経営資源の強化に直結する戦略的な一手なのです。

まとめ|塗装工事業の許可取得で、事業の信頼性と成長を加速しよう

塗装工事業で建設業許可を取得することは、単なる形式的手続きではなく、「信頼性の証」として大きな意味を持ちます。制度は年々変化しており、特に経営業務体制の要件は重要なポイントです。正確な情報に基づいて準備し、着実に許可取得を目指しましょう。

不安がある方は、建設業許可に詳しい行政書士に相談することで、スムーズに進められます。塗装業の更なる飛躍を目指して、今こそ一歩踏み出しましょう。

監修者プロフィール

西條 朋美(にしじょう ともみ)
行政書士
長野県行政書士会所属
MACKコンサルタンツグループ 小林行政書士事務所

制度を正しく理解し、事業者の皆さまが安心して事業を継続できるように——。そのお手伝いをするのが行政書士の役目です。建なびでは、読者に寄り添った解説を心がけています。ぜひご活用ください。

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