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特定建設業許可とは?一般との違い・取得要件・申請手続きまで完全ガイド

建設業を営むにあたり、受注する工事の規模や契約形態によって必要となる許可区分は「一般建設業許可」と「特定建設業許可」の2種類に分かれます。

本記事では、特定建設業許可の制度概要から、一般との違い、取得に必要な条件、具体的な申請手続きまでを、最新の法改正に準拠して正確かつ丁寧に解説します。

目次

特定建設業許可とは:制度の概要と適用基準

一般建設業許可との違い

建設業許可には「一般」と「特定」の2区分がありますが、両者の違いは元請業者が行う下請契約の金額規模にあります。

  • 元請業者が1件の建設工事について、1件の下請契約金額(税抜)が4,500万円以上になる場合には、特定建設業許可が必要です。
  • それ以外のケースでは、一般建設業許可で足ります。

💡注意:工事の請負金額全体が大きくても、自社で施工する場合には特定許可は不要です。判断基準は、下請契約の金額規模にあります。

また、工事を複数の契約に分割して4,500万円未満に見せかけることは、建設業法上認められていません。「実質的に一つの工事」と見なされる場合は、合算して判断されます


特定建設業許可を取得するための要件

特定建設業許可の取得には、以下の3つの要件すべてを満たす必要があります。

1. 経営業務の管理体制の整備

2020年10月の法改正により、従来の「経営業務の管理責任者制度」は廃止され、現在は「経営業務の管理体制が整っていること」が要件です。

たとえば、役員のうち1名が建設業での経営経験を有している、またはそれに準ずる地位で補佐していた経験があることが一般的な要件です。

✅ 要件の充足方法は複数あり、柔軟に判断されます。具体的な体制は業種・企業規模によって異なるため、専門家と相談しながら整備するとスムーズです。

2. 専任技術者の配置

営業所ごとに、特定建設業にふさわしい技術水準を持つ「専任技術者」を常勤で配置する必要があります。

以下のいずれかに該当すれば、専任技術者として認められます。

  • 一級建築士、一級施工管理技士等の国家資格保持者
  • 指導監督的立場での実務経験(建設工事に関する十分な経験年数)

⚠ 資格保持だけでは要件を満たさない場合があります。実務経験年数も審査されますので、証明書類の整備が重要です。

3. 財産的基礎の要件(自己資本4,000万円以上)

特定建設業許可を受けるためには、財務的な安定性が求められます

具体的には、以下のいずれも満たす必要があります。

  • 自己資本額が4,000万円以上
  • 資本金が2,000万円以上

これらは、貸借対照表等で証明する必要があります。500万円の資金調達能力のみでは要件を満たしませんので注意してください。

許可の有効期間と更新手続き

建設業許可(一般・特定共通)の有効期間は5年間です。継続して建設業を営むためには、有効期限の3か月前までに更新手続きを行う必要があります。

更新においても、上記の要件が引き続き満たされているかが審査されます。特に財務状況や専任技術者の在籍状況には注意が必要です。

特定建設業許可の取得手続き

申請に必要な書類

以下のような書類を準備する必要があります(一部抜粋):

  • 建設業許可申請書
  • 経営業務管理体制に関する書類(役員の経歴書など)
  • 専任技術者の証明書類(資格証、実務経験証明)
  • 財務諸表(直近の決算書)
  • 登記簿謄本、定款、納税証明書 など

書類作成には専門的な知識が必要なことも多く、行政書士に相談することでスムーズに進みます。

申請先と審査の流れ

  • 都道府県内のみで営業する場合:都道府県知事へ申請
  • 複数都道府県に営業所を持つ場合:国土交通大臣(地方整備局)へ申請

受理後、1〜3か月程度の審査期間を経て許可が交付されます。審査中に補足書類の提出が求められることもあります。

特定建設業許可を取得するメリット

大規模工事の受注が可能に

特定建設業許可を取得すれば、4,500万円超(税抜)の下請契約を伴う工事を元請として請け負うことが可能になります。これは民間・公共工事問わず、受注機会の拡大に直結します。

企業の信頼性とブランド向上

特定許可の取得は、「技術力・財務基盤・経営体制」が整っていることの証明となります。以下のような好影響が期待できます:

  • 発注者・取引先からの信頼向上
  • 金融機関からの信用評価UP
  • 優秀な人材の採用・定着に有利

まとめ:特定建設業許可は企業成長の礎となる

特定建設業許可は、単なる「手続き」ではなく、企業の信頼力と競争力を高める重要なステップです。取得にあたっては多くの準備が必要ですが、得られるメリットは非常に大きいと言えるでしょう。

  • 下請金額4,500万円以上(税抜)の工事を元請として扱う場合は必須
  • 経営体制・技術力・財務基盤の三要件を満たすことが必要
  • 企業の成長戦略や採用戦略においても大きな武器となる

申請の手続きや判断基準に不安がある方は、行政書士などの専門家に相談することで、確実かつ効率的に許可取得を目指すことができます。

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