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とび・土工工事業の建設業許可とは?その定義と取得条件をわかりやすく解説

とび・土工工事業は、建設工事の基礎を支える重要な分野です。足場の組立や土砂の掘削、地盤改良など、工事の初期段階で欠かせない作業を含んでおり、専門性の高い許可業種として位置づけられています。本記事では、この「とび・土工工事業」の建設業許可について、必要な要件、申請手続き、取得のメリットまで、わかりやすく解説します。

目次

とび・土工工事業許可の基礎知識

どんな工事が対象か?

「とび・土工工事業」とは、足場の組立や解体、くい打ち・くい抜き工事、土砂の掘削・盛土など、建築物や構造物の基礎に関わる作業を行う工事業種です。これらの工事は、建物の安全性や耐久性を確保するうえで非常に重要であり、高い専門性が求められます。

※なお、「コンクリート工事」などは、施工の内容によっては他の業種(型枠工事や左官工事など)に該当する場合もあります。

なぜ許可が必要なのか?

建設業法では、500万円(税込)以上の工事(建築一式工事は1,500万円以上)を請け負うには、原則として建設業許可が必要です。これは、業者の経営力・技術力を一定水準で担保することで、安全性の確保と不良施工の防止を目的としています。

とび・土工工事業許可を取得するための要件と手続き

① 経営業務の管理体制

2020年10月の法改正により、「経営業務管理責任者」という従来の制度は廃止され、現在は「経営業務の管理責任を適切に遂行できる体制」が整っていることが必要です。これには、一定の実務経験を持つ役員が配置されていることや、補佐体制の構築などが含まれます。

② 専任技術者の配置

営業所ごとに1名、専任技術者の常勤配置が必要です。対象となるのは、以下のいずれかの要件を満たす方です。

  • 一級または二級土木施工管理技士(種別:土木)
  • 技術士(建設部門など)
  • 所定の学歴+実務経験(例:高卒+5年、大学卒+3年)

業種に該当する工事の実務経験だけでなく、過去の業務内容が明確に証明できることが重要です。

③ 財産的基礎の確保

以下のいずれかを証明する必要があります。

  • 自己資本が500万円以上あること(貸借対照表で確認)
  • 銀行口座に500万円以上の残高があること(残高証明書)
  • 継続的に資金調達が可能な状態であること(融資契約だけでは不可)

「融資が通る見込み」だけでは不十分であり、資産や預金残高の明確な証明が必要です。

④ その他の要件

欠格要件(例:禁錮刑・破産・許可取消処分など)に該当しないこと、常勤性が認められることも必要です。

許可申請の流れと取得後のメリット

申請手続きの概要

申請書類は本店所在地を管轄する都道府県(知事許可)か、複数都道府県に営業所がある場合は国土交通大臣(大臣許可)へ提出します。

準備すべき書類は多岐にわたり、例えば以下のようなものがあります。

  • 申請書類一式(様式第一号ほか)
  • 経営・技術・財産の要件証明書
  • 役員の履歴書や身分証明書類
  • 営業所に関する証明書類(賃貸契約書など)

※専門家(行政書士など)に依頼することで、スムーズな書類作成が可能です。

審査期間と交付

書類が問題なければ、通常は1.5ヶ月〜2.5ヶ月程度で許可が交付されます。混雑時期や追加資料の提出がある場合は、それ以上かかることもあります。

許可証が交付されたら、5年ごとの更新や変更届も忘れずに行う必要があります。

許可取得の3つのメリット

  1. 営業機会の拡大
     建設業法で定める一定額以上の工事(500万円以上)を適法に受注可能に。
  2. 信頼性と信用力の向上
     公共工事の入札や元請との取引で有利に働くこともあります。
  3. 金融・補助制度の活用
     建設業許可を前提とする融資・補助金制度への申請が可能になる場合もあります(※制度により条件は異なるため、事前確認が必要です)。

まとめ:とび・土工工事業許可で未来の仕事を広げよう

とび・土工工事業の許可を取得することで、これまで以上に多くの現場で活躍できるようになります。制度の変化にも対応し、正確な知識をもって手続きを進めることが成功のカギです。複雑な要件に不安がある方は、建設業許可に詳しい行政書士などの専門家に相談することで、スムーズな取得が実現します。適切な許可の取得は、企業の成長戦略に直結する重要な一歩です。

監修者プロフィール

西條 朋美(にしじょう ともみ)
行政書士
長野県行政書士会所属
MACKコンサルタンツグループ 小林行政書士事務所

制度を正しく理解し、事業者の皆さまが安心して事業を継続できるように——。そのお手伝いをするのが行政書士の役目です。建なびでは、読者に寄り添った解説を心がけています。ぜひご活用ください。

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