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令3条使用人の変更届とは?建設業許可における正しい手続きと注意点

建設業許可を受けている事業者が、営業所の管理者である「令3条使用人」に変更があった場合、14日以内に監督官庁へ変更届を提出する義務があります。本記事では、変更届の法的根拠や手続きの流れ、必要書類、GVA法人登記などの関連ツールについて、分かりやすく解説します。

目次

令3条使用人とは?「支配人」との違いに注意

「令3条使用人」とは、建設業法施行令第3条に基づき、各営業所ごとに選任される管理者のことを指します。
一般的に「支配人」と呼ばれることもありますが、商法上の支配人制度とは異なり、建設業法に基づく法的用語は「令3条使用人」です。

令3条使用人は、各営業所の業務を適正に管理する重要な立場であり、建設業許可の継続や更新にも関係するため、変更が生じた際には速やかな届出が求められます。

届出が必要なケースと期限

以下のようなケースでは、変更があった日から14日以内に変更届の提出が必要です。

  • 令3条使用人の交代(就任・退任)
  • 氏名や住所、生年月日などの変更
  • 営業所の名称・所在地の変更(これに伴い令3条使用人が変わる場合)

期限を過ぎてしまうと、行政指導や業務改善命令の対象になることがあります。更新時に不利な判断を受ける可能性もあるため、必ず期限内に提出しましょう。

経営業務の管理責任者を兼ねている場合の注意点

令3条使用人が「経営業務の管理責任者」を兼任している場合、その変更は建設業許可の根幹に関わります。経営業務の管理責任者には、一定の経験年数や役職歴が求められるため、後任者の選任には注意が必要です。

変更があった際は、速やかに後任者を選任し、その経歴を証明する書類を添えて届け出る必要があります。

変更届に必要な書類と書き方

① 変更届出書

各都道府県の建設業担当窓口またはホームページから、所定の様式を入手できます。記載内容は以下の通り:

  • 変更前後の令3条使用人の氏名・住所・生年月日
  • 就任日(または退任日)
  • 変更理由(例:退職、死亡、異動など)

※修正液の使用はNG。記載ミスは二重線で訂正し、訂正印を押しましょう。

② 添付書類(例)

  • 新任者の住民票(本籍地記載、省略不可)
  • 経営業務管理責任者の経歴証明書(該当する場合)
  • 法人登記簿謄本(必要に応じて)

※都道府県により異なる書類が求められる場合があるため、事前に管轄窓口へ確認を推奨します。

提出先と提出方法

提出先は、各都道府県の建設業許可を管轄する窓口(通常は県庁または土木事務所)です。郵送または窓口提出が基本で、オンライン対応の有無は都道府県により異なります。

GVA法人登記の活用は補助的に有効

令3条使用人の変更届は「建設業許可制度」の手続きであり、「登記」ではありません。ただし、役員の変更を伴う場合には、会社の登記(商業登記)も必要となります。

その際に役立つのが「GVA法人登記」です。以下のような場面では、GVA法人登記の利用を検討する価値があります:

  • 経営業務の管理責任者交代に伴い、登記上の取締役が変更になる場合
  • 商業登記の変更(代表取締役、本店移転等)を効率的に行いたい場合

【注意】GVA法人登記は建設業の変更届を提出するものではなく、登記支援ツールです。混同しないようご注意ください。

支配人変更後に検討すべきその他の手続き

銀行口座の取引権限者変更

代表者・令3条使用人の変更により、銀行口座の取引権限者情報の変更が必要な場合があります。以下の書類を用意して、取引銀行へ確認しましょう:

  • 登記簿謄本
  • 新任者の印鑑証明書
  • 銀行所定の届出用紙

各種契約・保険の名義確認

リース契約や損害保険などで、契約担当者の変更が必要な場合は、各社に連絡して名義や届出内容の確認を行いましょう。

よくある誤解に注意!

誤解正しい理解
「支配人の変更=建設業許可の届出が必要」× 商法の支配人制度ではなく、建設業法では「令3条使用人」の変更が対象
「届出期限は30日以内」× 正しくは「14日以内」
「GVA法人登記で建設業許可変更もできる」× 登記手続きは別制度。建設業の届出は行政窓口へ提出が必要

まとめ:変更があったら、まず14日以内の届出!

令3条使用人の変更は、建設業許可の維持に直結する重要な手続きです。変更があったら14日以内に確実に届出を行うことが必要です。遅延や不備があると、許可の更新に支障をきたす場合もあります。

併せて、役員変更などの登記手続きが発生する際には、「GVA法人登記」などのツールを活用して効率化を図るのも一つの方法です。
制度を正しく理解し、事業の継続と信頼性を確保しましょう。


監修者プロフィール

西條 朋美(にしじょう ともみ)
行政書士
長野県行政書士会所属
MACKコンサルタンツグループ 小林行政書士事務所

制度を正しく理解し、事業者の皆さまが安心して事業を継続できるように——。そのお手伝いをするのが行政書士の役目です。建なびでは、読者に寄り添った解説を心がけています。ぜひご活用ください。

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