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内装仕上工事業の建設業許可を取得する方法|必要要件・申請手続・注意点を徹底解説

内装仕上工事業で500万円以上の工事を請け負うには、建設業許可の取得が必要です。本記事では、内装仕上工事の範囲や許可が必要となるケース、必要な体制や要件、申請の流れ、そして許可取得後の注意点まで、最新の法改正内容を踏まえてわかりやすく解説します。これから独立・起業を目指す方、法人で業務を拡大したい方は、ぜひご一読ください。

目次

内装仕上工事とは?対象工事の範囲を正確に理解

内装仕上工事とは、建築物の内部の壁や床、天井などの仕上げ工事全般を指します。具体的には以下のような工事が含まれます。

  • 軽量鉄骨による間仕切り(軽天工事)
  • 石膏ボードなどの内装下地貼り
  • 壁紙(クロス)の貼り替え
  • カーペットやフローリングなどの床仕上げ
  • 吸音材・断熱材の施工 など

※注意:天井や壁の「塗装」は、内装仕上工事業ではなく「塗装工事業」に該当する場合があります。工事内容ごとに正しい業種区分での許可取得が必要です。

建設業許可が必要なケースとは?

内装仕上工事業において、1件あたり税込500万円以上の工事を請け負う場合には、建設業許可が必要となります(建設業法第3条)。

この「500万円」には、材料費・労務費・外注費などをすべて含んだ総請負金額が基準となります。また、分割して発注されても、工事全体が一体として評価される場合は、合算して500万円を超えるかどうかで判断されます。

建設業許可を取得するメリット

建設業許可を取得することで得られる主なメリットは以下の通りです。

  • 500万円以上の工事受注が可能になり、事業拡大が可能に
  • 公共工事への入札資格が得られる
  • 顧客や金融機関からの信用度が大幅に向上
  • 従業員のモチベーションやスキルアップにもつながる
  • 法令遵守体制を整えることで、企業としての持続的成長を実現

許可取得は、単なる法令対応を超えて、企業の信頼性と成長性を担保する重要なステップです。

内装仕上工事業で建設業許可を取得するための要件

2023年の法改正を踏まえ、許可要件には以下の3つが主に求められます。

1. 経営業務を適切に管理できる体制(2020年法改正対応)

従来の「経営業務の管理責任者」の専任は廃止され、代わりに「経営業務の適正な管理体制」が必要とされています。

  • 経験年数5年以上の役員などが在籍し、意思決定や業務管理が可能な体制があること
  • 補佐的な役員や管理職による補完体制が整っていること
  • 必要に応じて国交大臣指定講習の修了が活用できることもあり

2. 専任技術者の配置

営業所ごとに、専任の技術者を配置することが求められます。専任技術者の要件は下記のいずれかです。

  • 建築施工管理技士(1級または2級・仕上げ工事区分)
  • 一級建築士または二級建築士
  • 内装仕上工事の実務経験が10年以上ある者

資格がない場合は、実務経験の証明(工事契約書、注文書、請求書など)の提出が必要です。

3. 財産的基礎の確保

許可取得時には以下のいずれかの財務的要件を満たしている必要があります。

  • 自己資本が500万円以上(貸借対照表の純資産)
  • 金融機関から500万円以上の融資証明書
  • 建設業信用保証会社の保証を受けていること

ただし、融資証明のみでの許可取得は慎重に扱われる場合があるため、事前相談が推奨されます。

申請の流れと必要書類

1. 必要書類の準備

  • 申請書(様式第一号)
  • 経営業務管理体制に関する書類(履歴書、役員の経歴、組織図等)
  • 専任技術者証明書(資格証・卒業証明書・実務証明書など)
  • 貸借対照表・損益計算書
  • 預金残高証明書、融資証明書など
  • 法人登記簿謄本、印鑑証明書、納税証明書

2. 申請先と提出方法

  • 原則、本店所在地の都道府県庁(建設業課)
  • 都道府県をまたぐ場合や公共工事元請を前提とする場合は、国土交通大臣許可が必要
  • 郵送提出が可能な場合もありますが、原則は窓口提出が推奨されます

3. 審査・許可交付

  • 審査期間:1〜2ヶ月程度
  • 書類不備があると再提出や照会対応が必要になるため、万全の準備が重要
  • 許可証の受領後は、営業所に掲示し、建設業許可票として表示が必要です

許可取得後の注意点

許可の更新

  • 有効期限は5年間
  • 更新申請は、有効期限満了日の30日前までに完了する必要があります
  • 手続き開始は満了日の3ヶ月前から可能

更新を怠ると失効し、再申請が必要になりますので、期限管理は厳重に行いましょう。

変更届の提出

  • 会社名・代表者・営業所・専任技術者の変更などは、30日以内に変更届出
  • 届出を怠ると、更新拒否や行政処分の対象になる可能性があります

法令遵守の徹底

建設業許可を持つ事業者は、建設業法や下請代金支払遅延等防止法などを厳格に遵守しなければなりません。安全管理、適正契約、労務管理など、社内体制の整備が必要不可欠です。

まとめ:内装仕上工事業の許可取得で未来を拓く

建設業許可を取得することで、より大規模で収益性の高い案件に挑戦できる環境が整います。また、法令遵守体制の強化、社員の士気向上、企業の信用力アップなど、長期的な経営基盤の強化にもつながります。

法改正の内容を正しく理解し、必要な要件を着実にクリアすることで、内装仕上工事業の未来は大きく広がります。信頼される業者として、許可制度を上手に活用し、持続的な成長を実現しましょう。

監修者プロフィール

西條 朋美(にしじょう ともみ)
行政書士
長野県行政書士会所属
MACKコンサルタンツグループ 小林行政書士事務所

制度を正しく理解し、事業者の皆さまが安心して事業を継続できるように——。そのお手伝いをするのが行政書士の役目です。建なびでは、読者に寄り添った解説を心がけています。ぜひご活用ください。

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