建設業許可の中でも、機械器具設置工事業は専門性が高い分野です。この記事では、機械器具設置工事業の許可を取得するための具体的な方法、必要な資格、そして許可取得後のメリットまで、わかりやすく解説します。許可取得を目指す方はもちろん、機械器具設置工事に関わるすべての方に役立つ情報をお届けします。
機械器具設置工事業とは?
機械器具設置工事業の定義と許可の必要性
機械器具設置工事業は、工場や発電所などにおける大型の産業機械の据付け・組立てなどを行う専門性の高い工事業種です。例えば、ボイラー設備、コンベヤー、産業用プレス機、精製装置といった大規模かつ重量のある機械を、設置や調整を含めて施工する工事が該当します。
なお、エレベーターやクレーン、給排水ポンプなどの設置工事は、内容によっては「電気工事業」や「管工事業」に該当する場合もあり、工事内容ごとに適切な業種を選択する必要があります。
このような機械器具設置工事を一定規模以上で請け負うには、「機械器具設置工事業」として建設業許可を取得することが必要です。許可を得ることで、より大きな案件を請け負えるようになるほか、発注者や元請業者からの信用も高まります。
建設業許可が不要なケース(軽微な工事)
建設業法では、いわゆる「軽微な工事」については建設業許可を不要としています。
例えば、機械器具設置工事においては、1件の請負金額が税込500万円未満であれば、許可がなくても施工可能です。
ただし、たとえ軽微な工事であっても、関連法令(労働安全衛生法、消防法、建築基準法等)の遵守義務は当然に課されており、手抜き工事や事故が発生すれば責任を問われます。
また、元請業者や発注者によっては「建設業許可業者であること」を下請契約や入札参加の条件とする場合もあります。今後の事業展開を見据えるなら、早めの許可取得を検討すべきでしょう。
建設業許可を取得するための要件
経営業務管理責任者の設置
申請事業者には、建設業に関する経営経験を有する「経営業務管理責任者」を設置することが求められます。
要件の一例:
- 法人の役員や個人事業主として、5年以上の建設業の経営業務経験
- 建設業の役員等としての経験が6年以上
経歴を証明するには、登記事項証明書や確定申告書などを用いて、実態ある経営経験があることを立証する必要があります。また、経営業務管理責任者は常勤であり、他事業との兼業は不可です。
専任技術者の配置
次に必要なのが、営業所ごとに「専任技術者」を配置することです。
機械器具設置工事業においては、専任技術者の要件は以下の通りです:
- 機械工学や電気工学等の関連学科を卒業し、一定の実務経験があること
例:高校卒業後5年以上、大卒後3年以上 - または、10年以上の実務経験がある者
2024年現在、機械器具設置工事業に関しては、特定の国家資格が専任技術者要件として明示されているわけではなく、主に学歴と実務経験の組み合わせによって証明することが一般的です。
財産的基礎の確認
資金力を有しているかどうかも審査されます。これは、経営の健全性を図る重要な指標です。
- 法人の場合:直前の決算書で自己資本500万円以上
- 個人事業主の場合:預金残高証明書や資産明細で500万円以上を証明
- または金融機関による融資証明書などにより、資金調達能力を証明することも可能です。
欠格要件に該当しないこと
建設業法では、一定の不正行為や刑罰歴のある者が申請できないよう、欠格要件が定められています。例として、
- 建設業法違反での処分歴
- 禁錮以上の刑罰を受け、一定期間が経過していない者
- 暴力団関係者 など
これらに該当する場合は、申請自体が却下されます。
建設業許可の申請手続きと必要書類
書類の準備
許可取得には、多岐にわたる書類の整備が必要です。主な書類は以下のとおりです:
- 建設業許可申請書
- 経営業務管理責任者の経歴証明(登記簿謄本、確定申告書など)
- 専任技術者の実務証明(卒業証明書、職務経歴書)
- 財産的基礎に関する証明(決算書、預金残高証明書)
- 営業所の使用権限確認資料(賃貸契約書等)
- 法人の登記簿謄本、役員の履歴書 等
提出書類や記載方法は都道府県により若干異なるため、事前に確認しましょう。
申請窓口と審査期間
許可申請は、本店所在地を管轄する都道府県庁の建設業課などで行います。
ただし、複数都道府県に営業所がある場合は、国土交通大臣許可となり、提出先が異なります。
審査には通常1〜2ヶ月程度かかりますが、書類不備があればさらに遅延することもあります。追加資料の提出要請にも、迅速かつ正確に対応しましょう。
許可取得後の注意点
建設業許可は5年ごとに更新が必要であり、許可取得時の要件が引き続き満たされているかが確認されます。
また、以下のような変更があった場合には変更届の提出が義務です:
- 商号・所在地・役員構成の変更
- 営業所の移転・廃止
- 経営業務管理責任者や専任技術者の変更
さらに、建設業法の遵守も引き続き重要です。たとえば、下請代金の支払遅延や書類の虚偽記載などの法令違反があれば、許可の取消や営業停止処分のリスクがあります。
まとめ:建設業許可取得で事業の信頼と拡大を手に入れる
機械器具設置工事業の建設業許可を取得することで、より大規模な案件に参入でき、公共工事の入札資格を得るなど、事業の拡大と安定につながります。
一方で、許可取得には専門的な知識と正確な準備が求められます。自社の経営経験や技術者の要件、財務基盤を正しく把握し、的確に書類を整えることが必要です。
不安な場合は、行政書士などの専門家に相談しながら、スムーズに許可取得を目指しましょう。許可は一度取れば終わりではなく、更新や法令遵守を含む継続的な管理が大切です。
この許可を足掛かりに、貴社の次の成長ステージを切り開いていきましょう。