建設業界にいると、「ウチくらいの規模なら許可はいらないよね?」「バレなきゃ大丈夫でしょ?」なんて声を耳にすることがあります。
でも、ちょっと待ってください!建設業許可を取らずに営業するのは、法律違反。しかも、バレたときのダメージは想像以上です。この記事では、無許可営業のリスクと、それを避けるための対策を、分かりやすく、そして少し読み物風にお届けします。
建設業許可なしで工事を受けたらどうなる? ― 知らないと損する落とし穴
刑事罰が科される!?無許可営業はれっきとした犯罪です
建設業法第3条では、一定金額(500万円以上の工事など)の建設工事を請け負う場合、都道府県知事または国土交通大臣の許可が必要だと定められています。
つまり、許可がないまま工事を請け負えば、それは「無許可営業」という立派な違法行為。違反すると、なんと【懲役6か月以下または罰金100万円以下】、またはその両方が科される可能性があります(建設業法第50条)。
実際に、過去には無許可営業で検挙され、有罪判決を受けた業者も少なくありません。単なる「手続き忘れ」では済まない、厳しい世界なのです。
行政処分でストップ!仕事ができなくなる深刻な影響
無許可営業が発覚すると、都道府県や国から【業務停止命令】が出されることがあります。これは、「何日間かは一切営業してはいけませんよ」という命令。
例えば、「30日間の業務停止」となれば、その間は見積もりも工事もできません。従業員を抱えていれば、固定費だけが出ていく恐怖の期間です。
さらには、業務停止だけで済まず、悪質だと判断されれば【許可の取り消し】や【刑事告発】に至るケースも。
信頼が地に落ちる!顧客や取引先が離れていく
建設工事は、数百万円から数千万円規模の大きな取引。そんな高額な契約を、法律違反の業者に任せたいと思うでしょうか?
無許可で営業していたことがバレれば、
- 顧客から契約を解除されたり、
- 取引先(下請けや資材業者)からもそっぽを向かれたり、
- 銀行からの融資が断られたり
といったことが普通に起こります。
さらに、昨今では大手建設会社や自治体がコンプライアンス(法令遵守)を重視し、無許可業者とは【一切取引しない】と明言しているケースも。名前が業界に広まってしまえば、復帰は極めて困難です。
万一の事故も自己責任!?保険・保証が効かない現実
例えば、工事中にクレーンが倒れて隣家を壊してしまったら……。
通常であれば、【工事保険】や【賠償責任保険】でカバーされるケースです。でも、許可のない状態で施工していた場合、保険会社は「契約無効」と判断して保険金を払ってくれない可能性が高いのです。
それだけじゃありません。住宅瑕疵担保責任保険(新築住宅に必要な10年保証)も、無許可では加入NG。アフターフォローにも穴が開きます。
つまり、無許可=”万が一の補償がまったくない状態”。これは、顧客にとっても業者にとっても非常にリスキーです。
公共工事のチャンスゼロ!民間工事でも不利に
公共工事(学校、道路、公共施設など)の入札には、必ず建設業許可が必要です。無許可業者は、最初から門前払いです。
「ウチは公共工事やらないし……」と思う方もいるかもしれませんが、民間工事でも話は同じ。施主や元請けが許可の有無をチェックする時代です。ネットでの評判も含めて、発注元はリスク管理に非常に敏感になっています。
許可がある=ちゃんとした会社。許可がない=なにか隠している?と思われてしまうのが現実です。
地域社会からも敬遠される可能性が…
建設業は「地元密着型」のビジネス。だからこそ、地域の信用が何よりも大切です。
でも、無許可営業の噂が広がれば、地元の建設組合から排除されたり、町内会や自治体とのつながりも薄くなったりして、仕事が激減することもあります。
地域のイベントに協賛しても、「あの業者、無許可らしいよ」と言われてしまえば逆効果です。
許可を取るのが一番のリスク対策!
ここまでお読みいただければ、無許可営業がいかに多くのリスクを抱えているか、お分かりいただけたと思います。
「許可を取るのが面倒」「手続きがよく分からない」 そう思う気持ちも分かります。でも、逆に言えば、そこを乗り越えて許可を取得するだけで、
- 法的リスクを回避できる
- 顧客・取引先からの信頼が得られる
- 保険や保証で守られる
- 公共工事や大手取引にチャレンジできる
という、大きなメリットが手に入ります。
無許可営業の代償は“信用”と“未来”を失うことかもしれない
おわりに:未来のために、今こそ許可取得を
建設業界は、これから大きな変化の時代に入ります。人手不足、IT化、コンプライアンスの強化……。
その中で、許可の有無はますます重視されていきます。
だからこそ、まだ許可を取得していない方は、ぜひ前向きにご検討ください。「今は小さな工事だけ」でも、「これからの可能性を広げるため」に、許可を取ることは最善の選択です。
行政書士などの専門家に相談すれば、最短ルートでの許可取得も可能です。まずは一歩、動いてみましょう!