建設業許可を受けている法人や個人事業主が、商号または名称を変更した場合には、建設業法に基づく「変更届」の提出が必要です。本記事では、変更届の対象となるケースや提出期限、必要な書類、注意点までを分かりやすく解説します。
手続きを怠ると、更新時や公共工事の入札などで不利益を受ける可能性があります。変更が決まったら、速やかに準備を始めましょう。
商号・名称変更が変更届の対象になるケースとは?
建設業許可を受けている事業者が、以下のような変更を行った場合、変更届の提出が必要です。
- 法人の商号(登記上の会社名)を変更した場合
例:株式会社ABC建設 → 株式会社XYZ建設 - 個人事業主が名称(許可証に記載された屋号等)を変更した場合(※自治体によって判断が異なります)
ただし、個人事業主が法人化(いわゆる法人成り)した場合は、別法人として新規で建設業許可を申請し、旧個人の許可については廃業届を提出する必要があります。これは変更届では対応できませんので注意が必要です。
提出期限:原則として30日以内に届出を!
商号・名称の変更があった場合、原則として変更日から30日以内に、変更届を提出する必要があります(建設業法施行規則第7条の3など)。
この期限は、法令上定められており、遅延があると更新や他の手続きに影響する可能性があります。提出が間に合わない場合は、事前に所轄の許可行政庁に相談し、遅延理由書の提出を求められるケースもあります。
変更届に必要な主な記載事項
変更届には、以下のような情報を記載します:
- 建設業許可番号
- 変更前の商号・名称
- 変更後の商号・名称
- 代表者氏名
- 変更日
- 連絡先
変更理由の記載は必須ではありませんが、行政庁の指示がある場合は別紙で補足することもあります。
添付書類:提出先に応じて確認を
提出時には、以下のような書類を添付するのが一般的です。詳細は各都道府県の担当窓口で確認しましょう。
【法人の場合】
- 商業登記簿謄本(履歴事項全部証明書)
【個人事業主の場合】
- 住民票(自治体によっては屋号記載の確認が求められる場合あり)
※コピー可否、原本証明の要否などは自治体によって異なります。
提出先と方法
変更届の提出先は、建設業許可の種類によって異なります。
許可の種類 | 提出先 |
---|---|
都道府県知事許可 | 各都道府県の建設業許可担当課 |
国土交通大臣許可 | 国土交通省の地方整備局等 |
提出方法は、以下のいずれかです:
- 窓口での持参(予約が必要な自治体もあり)
- 郵送(書留での送付がおすすめ)
- 電子申請(対応している自治体は一部に限られる)
事前確認と控え保管が重要です。提出控えは後日のトラブル防止にも役立ちます。
注意:屋号変更や法人成りは取扱いに差がある
屋号の変更が建設業許可証に記載されている場合には変更届の対象になりますが、単なる営業上の通称変更であれば、対象外とされることもあります。
また、法人成りは「変更」ではなく「新設・廃止」の手続きになるため、混同しないよう注意が必要です。
変更届以外に必要となる手続き
商号・名称を変更した場合、以下のような関連手続きも必要になることがあります。
- 社会保険(健康保険・厚生年金)の名称変更届
- 雇用保険の事業所変更届
- 税務署への異動届出書
- 都道府県税事務所への異動届
手続きごとに提出期限が異なるため、行政書士や社会保険労務士と連携して進めると安心です。
建設業許可の更新時の注意点
建設業許可の有効期限は5年間です。更新手続きの際に、変更届が未提出であることが判明すると、申請の受理が遅れたり、補正を求められる可能性があります。
更新手続きを円滑に進めるためにも、商号・名称変更があった場合は、必ず事前に変更届を済ませておくことが重要です。
まとめ:変更届は速やかに、正確に
建設業許可を維持するうえで、商号・名称の変更届は見過ごせない手続きです。以下の点を意識しましょう:
- 提出期限(30日以内)を厳守
- 個人と法人の変更は「新規申請」で対応
- 書類の記載ミスや漏れに注意
- 必要に応じて専門家に相談
正確な対応で、信頼ある事業運営を継続していきましょう。