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株主や役員が変わったときの建設業許可変更届|対象・必要書類・書き方ガイド

建設業許可を受けている法人において、役員の変更があった場合には、一定期間内に建設業許可の変更届出が必要となります。本記事では、変更届が必要なケース、提出先や期限、必要書類、記載上の注意点まで、実務で役立つ情報を丁寧に解説します。

目次

変更届が必要なケースとその理由

役員の変更は必ず届出が必要

建設業許可を受けている法人において、取締役や監査役の就任・退任があった場合には、建設業法第11条および施行規則第9条に基づき、30日以内に変更届を提出する義務があります。
なお、実質的に経営に関与する相談役・顧問等も、実態によっては「役員」として届出対象に含まれる場合があります。

株主変更は原則、届出不要

一方で、株主の変更については、原則として建設業法上の届出対象とはされていません。ただし、実質的支配者の変更があった場合など、経営体制に重大な影響があると判断されるケースでは、管轄行政庁から株主構成の確認や資料の提出を求められることがあります。

提出期限とペナルティ:30日以内に届出を!

役員変更等が発生した場合は、その事実の発生日から30日以内に、所定の変更届を提出する必要があります。
提出が遅れた場合には、まず行政指導(口頭または文書)が行われ、それでも従わない場合や悪質と判断される場合は、建設業許可の取消処分につながるおそれもあります。

提出先の確認:許可の種別で異なる

建設業許可には以下の2種類があります:

  • 都道府県知事許可:同一都道府県内のみで営業所を有する場合
  • 国土交通大臣許可:複数都道府県に営業所がある場合

提出先はこの区分に応じて以下の通りです:

許可の種類提出先
都道府県知事許可各都道府県の建設業課など
国土交通大臣許可国土交通省地方整備局など

事前に自身の許可の種別を確認し、間違いのない提出先を把握しておくことが重要です。

必要書類一覧と作成のポイント

役員一覧表(最新の構成)

役員の変更があった場合は、最新の役員一覧表の提出が必要です。氏名、生年月日、住所、就任年月日など、記載内容に誤りがないよう注意してください。

履歴書・誓約書(必要に応じて)

新任役員が就任する場合には、その履歴書と、建設業法に定める欠格要件に該当しないことを誓約する書面(誓約書)を添付するよう求められることがあります。

議事録・登記事項証明書(変更内容により)

取締役会や株主総会の議事録、登記事項証明書の写しが必要となることがあります。提出先に確認し、必要な場合は準備しておきましょう。

株主名簿や定款の写しの提出は通常不要ですが、実質的支配者に関する確認が必要な場合などに求められることもあります。

変更届の様式と記入方法

様式の入手方法

変更届の様式は、許可を受けた都道府県の建設業課または国土交通省のウェブサイトからダウンロードできます。最新の様式を使用してください。

記入上の注意点

  • 手書きの場合は楷書で丁寧に記入
  • 修正液不可、訂正は二重線+訂正印
  • 誤記を避けるため、事前に控えを取るのが望ましい

提出後の対応と注意点

受理確認

変更届を提出後、受理されたかどうかの確認を忘れずに行いましょう。窓口提出ならその場で受付印、郵送の場合は返送用封筒や問い合わせで確認を。

許可証は原則更新されない

役員の変更等があっても、建設業許可証そのものが再発行されることは通常ありません。許可内容は登録簿に反映され、閲覧可能になります。

その他の関連手続きにも注意

役員の変更に伴い、建設業許可の変更届とは別に、社会保険手続き(資格取得・喪失)や、税務署への異動届出書など、他制度に関する手続きも必要となる場合があります。
これらは各制度ごとのルールに従って、適切なタイミングで行うようにしましょう。

まとめ:適切な届出でリスク回避を

役員変更などの重要事項が生じた場合には、建設業許可上の義務として、30日以内に正確な変更届の提出が必要です。
提出先・様式・添付書類を確認のうえ、ミスなく提出することで、行政指導や不利益処分といったリスクを避けることができます。

不明点がある場合は、建設業許可に精通した行政書士等の専門家に相談することを強くおすすめします。

監修者プロフィール

西條 朋美(にしじょう ともみ)
行政書士
長野県行政書士会所属
MACKコンサルタンツグループ 小林行政書士事務所

制度を正しく理解し、事業者の皆さまが安心して事業を継続できるように——。そのお手伝いをするのが行政書士の役目です。建なびでは、読者に寄り添った解説を心がけています。ぜひご活用ください。

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