経営事項審査におけるZ評点(技術力)は、建設業許可の取得・更新において非常に重要な要素です。本記事では、Z評点の算出方法から、評点をアップさせるための具体的な対策まで、わかりやすく解説します。
Z評点(技術力)とは?公共工事入札に必要な技術評価を理解しよう
Z評点とは、公共工事の入札に必要な「経営事項審査(経審)」における技術力評価の項目です。正確には、
- Z1点:技術職員の保有資格に基づく点数
- Z2点:元請完成工事高に基づく点数
の2つのスコアの総称として「Z評点」と呼ばれています。
建設業者が公共工事に参加するためには、経審を通じて総合評定値(P点)を取得する必要があり、Z1点・Z2点はその評価に大きく関与します。一方で、建設業許可の取得や更新には直接関係がない点には注意が必要です。
技術職員数に関する評価(Z1点)
技術職員数の評価基準とは?
Z1点は、常勤の技術職員の保有資格に基づいて算出されます。評価の対象となるには、以下の要件を満たす必要があります。
- 国が認めた建設関連の1級・2級国家資格を保有していること
- 常勤性が認められること(社会保険加入状況、勤務時間、賃金支払状況等から判断)
- 審査基準日現在で6か月以上継続して雇用されていること
1級資格の方が2級よりも高く評価され、人数が多いほどZ1点が上昇します。
技術職員の増加に向けた戦略
Z1点を向上させるためには、有資格者の採用と既存職員の育成が欠かせません。
- 求人募集時に「資格要件」や「業務内容」を明示して有資格者を採用
- 社員に対して資格取得支援制度を提供(例:受験費用補助、報奨金制度、社内研修など)
- OJTや定期勉強会を通じたスキルアップ支援
さらに、働きやすい環境整備やキャリア支援を行うことで、技術職員の定着率向上にもつながります。
元請完成工事高の評価(Z2点)
Z2点とは?公共工事実績の裏付け
Z2点は、建設業者が 元請として完成させた工事の金額(完成工事高)をもとに評価される項目です。大きな金額を継続的に記録している企業ほど、技術力が高く実績豊富とみなされ、高いスコアを獲得できます。
評価期間の選択に注意
Z2点は、以下のいずれかの期間での平均値で算出されます。
- 直前2年間の平均
- 直前3年間の平均
申請時にいずれかを選択する必要があり、一度選択すると原則として継続使用が求められます。直近で業績が伸びている企業は2年平均、有力案件の波がある企業は3年平均が有利となるケースもあります。
選択に迷う場合は、行政書士等の専門家に相談し、自社にとって有利な期間を選ぶようにしましょう。
Z点アップのための実践的アプローチ
資格取得支援制度の整備
Z1点強化には、社員のスキルアップ支援が不可欠です。以下のような支援策が効果的です。
- 資格取得時の受験料補助、報奨金制度
- 社内講習や模擬試験の実施
- 学習時間の確保や業務時間内学習の許可
これにより、社員のモチベーションを高め、長期的な人材育成につなげることができます。
元請工事の受注体制を強化する
Z2点を向上させるには、元請としての工事受注額を増やす戦略が必要です。
- 営業力の強化(顧客ニーズの把握・提案力向上・関係構築)
- 自社技術や専門領域を活かした差別化
- 品質管理や安全管理の徹底による顧客満足の向上
CRMシステムの導入や営業社員の研修も、受注拡大に向けて有効な手段です。
専門家のサポートを活用する
Z点の向上を図る際には、経審制度に詳しい行政書士やコンサルタントの活用も選択肢の一つです。以下のような支援を受けることができます。
- 評点算出シミュレーションと改善提案
- 技術職員の配置と評価要件の検証
- 完成工事高の分析と報告資料作成
- 経営事項審査の申請書類作成の代行
専門家と連携することで、制度変更への対応や見落としのない準備が可能になり、確実かつ効率的なZ点強化が実現します。
まとめ:Z1・Z2点の改善が公共工事受注への近道
Z1点とZ2点は、建設企業の技術力を客観的に数値化する重要な指標です。
建設業許可とは直接関係ありませんが、公共工事の入札資格(経審P点)を左右する重大な要素となります。
- 技術職員の資格取得と定着を支援し、Z1点を強化
- 元請としての完成工事高を安定的に増加させ、Z2点を強化
- 必要に応じて、行政書士などの専門家のサポートを活用
これらの戦略をバランスよく展開することで、経審全体の評価が向上し、企業の信頼性と競争力が大きく高まります。