建設業許可を維持するためには、許可要件に変更があった際の迅速な届出が求められます。
特に、経営業務を適切に管理する体制に関する構成員に変更が生じた場合、建設業法に基づき14日以内に変更届を提出する必要があります。この記事では、現行制度に基づいた「経営業務体制の変更」への対応方法、必要書類、注意点をわかりやすく解説します。
経営業務の管理体制とは?
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2020年10月の法改正により、従来の「経営業務の管理責任者(経管)」制度は廃止されました。
現在は、次のいずれかの体制を備えていることが、建設業許可の要件となっています:
- 常勤役員等が経営経験を有している体制
- 経営経験者が補佐する体制
つまり、特定の「経営業務の管理責任者」を選任・登録する制度ではなくなったのです。
代わりに、申請時または体制変更時に「要件を満たしているか」を証明する書類の提出が求められます。
届出が必要なケースとは?
以下のように、経営業務体制の構成員(経営経験者)に関する変更があった場合、変更届の提出が必要です:
- 経営経験を有する役員等が退任した
- 新たに役員等が就任し、体制構成員となった
- 構成員の氏名が変更になった(戸籍変更等)
- 事業承継や合併によって体制が変わった場合
※単なる役員の肩書変更や住所変更のみで、経営業務体制に影響がない場合は不要なこともあります。
提出期限と届出先
変更があった日から14日以内に、以下の提出先に届け出ます:
許可の種類 | 提出先 |
---|---|
国土交通大臣許可 | 各地方整備局等 |
都道府県知事許可 | 所轄の都道府県建設業担当部署 |
提出方法は、窓口提出・郵送・オンライン申請(自治体によって対応)があります。
オンライン対応の有無は事前に確認しましょう。
必要書類(代表的なもの)
- 変更届出書(様式第二十二号)
- 変更に関する添付書類(例)
- 新任役員の略歴書(経営経験の確認用)
- 在任期間証明書(辞任者を含む)
- 法人の登記事項証明書(写し)
- 健康保険証や雇用契約書等(常勤性の証明)
※必要書類は自治体によって異なるため、事前確認が必須です。
記入時の注意点
- 登記簿の記載内容と相違がないように正確に記載
- 就任日・退任日・生年月日などの情報は正式書類と一致させる
- 記載内容に誤りがあった場合は、訂正印で修正
- 提出前に控えのコピーを取り、提出証明として保管
登記・保険・税務などの関連手続き
✅役員変更登記(法務局)
- 就任・退任があった場合は、2週間以内に登記が必要(会社法)
- 登記簿の内容に基づき、建設業許可変更届の記載も一致させる
✅社会保険・雇用保険(報酬がある役員等の場合)
- 社会保険(年金事務所等):5日以内に資格喪失・取得届
- 雇用保険(ハローワーク):10日以内に喪失・取得届
※報酬のない非常勤役員は対象外となる場合あり。
✅税務署への届出(代表者変更等)
- 法人代表者の変更がある場合は、異動届出書を税務署に提出
- 納付書記載の代表者名も変更が必要
取引先への通知・経審との関係
- 顧客・取引先への通知は信頼維持の観点から重要です。
- 経営業務体制は、**経営事項審査(経審)**の評点にも関わるため、変更があった場合は審査申請前に必ず反映を。
トラブルを防ぐ!変更届のチェックリスト
- 登記簿内容の確認(新旧役員)
- 経営経験年数の確認と略歴書の整備
- 常勤性の証明書類の用意
- 記載内容の最終チェック
- 提出後の控えの保存
専門家への相談も有効
手続きに不安がある場合は、行政書士などの専門家への相談がおすすめです。
最新の制度動向や書類作成ノウハウを活用することで、スムーズかつ確実な手続きが可能になります。
まとめ:14日以内の届出と事前準備が鍵
経営業務体制の変更は、建設業許可の維持に直結する重要な事項です。
変更があった場合には14日以内に正確な届出を行い、事業運営への影響を最小限に抑えましょう。
【ポイントまとめ】
- 経管制度は2020年に廃止済み → 現行は「体制の証明」
- 届出は体制構成員の変更時に14日以内に行う
- 書類不備や届出漏れがあると許可取消のリスク
- 専門家への相談も視野に入れて安心手続きを