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管工事業の建設業許可を取得する方法|要件・申請手続き・取得後のメリットまで徹底解説

管工事業で事業を拡大し、公共工事への参入や受注の拡大を目指すなら、建設業許可の取得は避けて通れません。本記事では、管工事業における建設業許可の制度概要から、必要な要件、申請手続き、許可取得によるメリットまでを制度に準拠してわかりやすく解説します。

目次

管工事業の建設業許可とは?必要性と対象工事の範囲

500万円以上の元請工事には許可が必要

建設業法により、1件あたりの請負代金が税込で500万円(税抜で約455万円)を超える工事を元請として受注する場合、建設業許可が必要です。これを超える工事を無許可で請け負った場合、建設業法違反として懲役刑や罰金刑の対象になることがあります。

また、許可を取得することで、取引先や金融機関からの信用が向上し、より大規模な案件に参加しやすくなります。事業の安定化・拡大を目指す上でも、建設業許可は重要な戦略的手段です。

管工事業の対象工事とは?

管工事業は、次のような設備工事を対象としています:

  • 給排水衛生設備工事
  • 冷暖房・空調設備工事
  • 換気設備工事
  • ガス配管工事
  • 消防用配管設備工事 など

建築物のライフライン整備に不可欠な工事ばかりであり、社会的責任と専門性が高い業種です。

建設業許可を取得するための要件とは?

建設業許可には「人的要件」「財産的要件」「欠格要件」などをすべて満たす必要があります。ここでは主要な3つのポイントを解説します。

経営業務の管理責任者の設置

許可申請者(法人または個人)は、原則として5年以上の経営業務経験者を役員や事業主として置くことが必要です。ただし、補佐的立場での経験や他業種の管理経験との合算が認められるケースもあり、各都道府県の基準によって柔軟な運用がなされる場合もあります。

専任技術者の配置

専任技術者とは、許可業種に応じた専門的な知識・経験を持つ技術責任者です。以下のいずれかを満たすことで、管工事業の専任技術者として認められます。

  • 国家資格(1級・2級管工事施工管理技士 など)を保有
  • 指定学科の卒業+一定の実務経験(大学卒+3年、高校卒+5年)
  • 無資格の場合は、10年以上の実務経験を証明

実務経験を証明するには、工事契約書や発注書、請求書などの裏付け資料が求められます。

財産的基礎の証明(一般建設業)

一般建設業許可では、500万円以上の自己資本を保有していること、または流動資産が流動負債を上回っていることが必要です。預金残高証明書、決算書、貸借対照表などにより証明します。自己資本の調達が困難な場合でも、必要条件を満たすよう財務体質を整えておきましょう。

建設業許可の申請手続きの流れ

必要書類と事前準備

主な書類は以下の通りです:

  • 建設業許可申請書
  • 経営業務の管理責任者の略歴書
  • 専任技術者証明資料
  • 財務諸表、残高証明など

書類の正確性が審査のスピードに影響します。各都道府県で若干様式や基準が異なるため、事前に確認し、不明点は専門家(行政書士等)に相談することが賢明です。

申請窓口と審査期間

  • 一般建設業許可:事業所の所在地を管轄する都道府県庁
  • 特定建設業許可(複数都道府県に営業所あり)地方整備局(国土交通省)

審査期間は通常1~2か月程度ですが、繁忙期や書類不備があると3か月程度かかることもあります。早めの準備が大切です。

建設業許可取得によるメリット

公共工事への入札が可能に

建設業許可を取得すれば、公共工事への入札参加が可能になります。ただし、入札参加には「経営事項審査(経審)」や「入札参加資格申請(指名願い)」などの手続きも必要です。

公共工事は収益性・安定性が高く、民間工事との差別化にもつながります。

信用力向上と事業成長への加速

建設業許可は、金融機関や元請企業にとっての信頼の指標です。許可を持っていることにより、

  • 融資審査で有利になる
  • 金利優遇を受けられる場合がある
  • 求人時の応募数が増加する など

経営基盤の強化と将来の成長に向けた大きな後押しとなります。

まとめ|許可取得で管工事業を次のステージへ

管工事業における建設業許可の取得は、事業拡大と信用力の向上に直結します。500万円超の工事受注、公共工事参入、金融機関との取引強化など、その効果は計り知れません。

要件を一つずつ丁寧に確認し、必要な書類を整えて、申請準備を進めていきましょう。専門家のサポートを活用することで、スムーズな許可取得が可能になります。

監修者プロフィール

西條 朋美(にしじょう ともみ)
行政書士
長野県行政書士会所属
MACKコンサルタンツグループ 小林行政書士事務所

制度を正しく理解し、事業者の皆さまが安心して事業を継続できるように——。そのお手伝いをするのが行政書士の役目です。建なびでは、読者に寄り添った解説を心がけています。ぜひご活用ください。

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