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個人事業主でも取得可能!建設業許可の取得方法と実務ポイント

「建設業許可は法人だけのもの」と誤解されがちですが、実は個人事業主でも取得できます。実際に、個人事業主として許可を取得し、事業を拡大しているケースも多く存在します。ただし、要件をクリアする必要があり、特に「一人親方」の方にとってはハードルが高い場面もあります。

このページでは、個人事業主が建設業許可を取得する際に押さえておくべきポイントを、実務的な視点から分かりやすく解説します。

目次

建設業許可が必要となるケースとは?

請負金額に基づく許可の必要性

建設業許可は、一定規模以上の工事を請け負う場合に必要です。具体的には以下のような工事が該当します:

  • 建築一式工事以外の工事:1件の請負代金が税込500万円以上の工事
  • 建築一式工事:税込1,500万円以上、または延べ面積150㎡以上の木造住宅の工事

つまり、現在は小規模な工事しか請け負っていない個人事業主でも、将来、これらの基準を超える工事にチャレンジしたい場合には、許可取得が必要になります。

個人事業主が建設業許可を取るメリットと留意点

許可取得の主なメリット

建設業許可を取得することで、以下のようなメリットがあります。

  • 500万円を超える工事や大型案件に参入できる
  • 公共工事への入札に必要な条件を整えられる(+経審受審も必要)
  • 顧客・取引先からの信頼性が高まる
  • 銀行やリース会社からの信用力が上がる

【補足】許可の取得により、社会的な信頼性が担保され、「適正な経営体制」「技術者の確保」「一定の財務基盤」があると評価されます。

一人親方でも取得できるのか?

制度上は可能ですが、次のような要件をすべて満たす必要があります:

  • 常勤の経営業務の管理責任者がいること
  • 常勤の専任技術者がいること
  • 財産的基礎があること(原則500万円以上の自己資本)
  • 建設業法などに違反していないこと(誠実性)

つまり、実質的に「1人で両方の要件を満たす」「かつ500万円の資本を用意できる」必要があり、現実的には「名義貸し」「見せ金」などと誤解されるケースもあるため、慎重な確認が必要です。

許可取得に必要な主な要件

経営業務の管理責任者(経管)とは?

2020年10月の制度改正により、「経営業務の管理責任者」という旧来の要件は緩和され、「適正な経営体制があること」が求められるようになりました。

具体的には、建設業の経営に関する知識と経験を有し、業務執行権限を持つ常勤役員などが存在することが条件です。

【証明書類の例】

  • 確定申告書や契約書(事業実績を証明)
  • 業務執行権限を示す書類(個人事業主の場合は本人)

専任技術者の資格や経験

建設業の種類に応じた技術者が、常勤で専任配置されている必要があります。要件を満たすパターンは以下のいずれかです。

  • 国家資格(例:建築士、施工管理技士)を所持
  • 指定学科卒業+実務経験(例:大学卒+3年、専門学校卒+3年、高校卒+5年)
  • 実務経験10年以上(学歴不問)

【注意点】常勤性と専任性が求められるため、他社の役員や会社員を兼ねている場合は不可です。

財産的基礎の要件

許可取得時に、次のいずれかを満たすことが求められます。

  • 自己資本が500万円以上(預金通帳や残高証明書で確認)
  • 許可を継続して5年以上保有していた実績がある

【補足】金融機関の融資枠や与信では代替できないため、「現実に保有する資金や資産」が問われます。

誠実性の要件

申請者本人または関係者に次のような経歴があると、許可が下りない可能性があります。

  • 建設業法や関係法令に違反して処分歴がある
  • 刑罰を受け、欠格期間が経過していない
  • 暴力団等との関係があると認定された

申請に必要な書類と実務的な注意点

主な書類一覧(個人事業主)

  • 確定申告書(直近3年分)
  • 預金残高証明書
  • 履歴事項全部証明書(法人と異なり不要)
  • 印鑑証明書、住民票(本人のもの)
  • 技術者の資格証、卒業証明書、実務経験証明書
  • 経管の経験証明書(契約書や帳簿類)
  • 申請書一式(都道府県ごとに様式が異なる)

【アドバイス】過去の契約書や請求書類が見つからない場合、銀行口座の入金記録や見積書・注文書など複数の資料を組み合わせて証明することも可能です。

許可取得後の義務と留意点

毎年の「決算変更届」

法人には義務がありますが、個人事業主は基本的に不要です(ただし更新時に確定申告書の提出が必要)。

5年ごとの更新申請

許可の有効期間は5年間であり、満了の3ヶ月前から更新申請が可能です。期限管理が重要です。

変更届出義務

次のような変更があった場合は、30日以内の届出が必要です。

  • 商号・住所変更
  • 専任技術者の変更
  • 営業所の新設・廃止

将来的な法人化の検討

個人事業主として許可を取得していても、以下のような状況では法人化を検討する価値があります。

  • 工事件数・金額の増加により、事業規模が拡大してきた
  • 複数の従業員や外注先を抱えるようになった
  • 融資や取引先からの信用を高めたい
  • 節税や経費計上の自由度を上げたい

【注意】法人化には設立登記、決算申告義務、社会保険加入義務などが伴うため、税理士や行政書士に事前相談することが推奨されます。


許可取得はあなたの事業を飛躍させる一歩

建設業許可の取得は、事業の規模を広げ、信用力を高めるための強力な手段です。一方で、制度的な要件を正しく理解し、実務的に準備すべき書類も多岐にわたります。特に個人事業主の方にとっては、経験や資産の証明がカギとなります。

もし申請や書類の準備に不安がある場合は、建設業許可申請に精通した行政書士などの専門家に相談することで、スムーズかつ確実な許可取得を実現できます。

あなたの建設業のステージを、次のフェーズへ進めるために。
建設業許可の取得に、今こそ踏み出しましょう。

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