建設業許可申請において、「役員等の一覧表」は極めて重要な書類の一つです。申請者(法人・個人)の経営体制を示し、役員が建設業法上の要件を満たしているかを審査機関が確認するために提出が求められます。この記事では、一覧表の基本から記入の注意点、添付書類、申請後の流れまで、実務に即してわかりやすく解説します。
書類の基本構造と作成上の留意点
役員等の一覧表の役割と目的
役員等の一覧表は、以下のような目的で審査に使用されます:
- 申請者の経営体制(役員構成)の把握
- 記載された人物が欠格要件に該当しないことの確認
この一覧表自体に「欠格要件に該当しない旨」を記載することはありませんが、添付書類と照合されてチェックされます。
一覧表は建設業許可の要件確認の第一歩。正確に記載されていないと審査の遅延や不許可につながることもあります。しっかりと作成しましょう。
対象となる「役員等」の範囲
誰を一覧表に記載する必要があるのか、間違えやすいポイントです。建設業法施行規則第2条の2に基づき、以下のように定められています:
【法人の場合】
- 取締役(監査役含む)
- 業務を執行する社員(合同会社の代表社員など)
- 支配人・支店長など、使用人として登録されている者
【個人事業主の場合】
- 本人
- 使用人(支店長や営業所長など)
特に注意したいのは、名誉職や非常勤であっても、実質的に経営に関与している場合は記載が必要となる点です。
一覧表に記載する基本情報
一覧表には、以下の基本情報を正確に記載する必要があります。
- 氏名(住民票の漢字と一致)
- 現住所(省略せず、住民票と一致)
- 生年月日(和暦・西暦の表記統一)
正確な情報の記載は、本人確認や審査の円滑化に直結します。書き間違いや記入漏れを防ぐため、下記のチェックポイントも活用してください:
✅ 記載時のチェックポイント
- 最新の住民票で確認した情報を転記しているか
- 和暦/西暦表記が混在していないか
- 所定の様式(都道府県指定)を使用しているか
丁寧な確認が、ミスのない申請への第一歩です。
添付が必要な証明書類とその意味
一覧表の提出に際しては、内容を裏付けるために以下の書類の添付が必要です。提出先によって細かな要件が異なる場合もあるため、事前確認が重要です。
📄 よく使われる添付書類一覧
- 住民票(個人):氏名・住所・生年月日等を確認
- 身分証明書(本籍地市区町村発行):破産手続き・後見等に該当しないことの証明
- 登記されていないことの証明書(法務局発行):成年被後見人・被保佐人でないことを証明
これらの書類は原則、「発行日から3ヶ月以内のもの」が必要です。余裕を持って取得を始めましょう。
提出タイミングと申請後の流れ
申請区分ごとの提出義務
役員等の一覧表は、以下の申請において提出が必要です:
- 新規許可申請:必須書類です。現在の役員情報に基づき正確に記載。
- 更新申請:役員構成に変更があった場合は、先に変更届を提出のうえ、最新情報で申請。
- 変更届出:役員の氏名・住所・退任・就任等があった場合、30日以内に提出。
🔍 変更届が必要な主なケース
- 役員の退任・就任
- 代表取締役の交代
- 氏名変更(婚姻等)
- 住所変更
変更届の提出が遅れると、更新申請や公共工事の入札参加に支障が出る場合があります。常に役員情報を最新に保つことが重要です。
審査の流れと許可取得後の注意点
申請後は都道府県の行政庁で書類審査が行われ、通常1〜3ヶ月程度かかります。補正依頼が来た場合は速やかに対応しましょう。
審査後の流れ
- 許可通知書が送付される(許可番号・有効期間など記載)
- 許可内容に誤りがないか確認
- 許可後も変更があれば必ず届出
許可は5年間有効であり、有効期限の3ヶ月前から更新手続きが可能です。また、決算後には「事業年度終了届(決算変更届)」も提出義務があります。
まとめ:ミスのない一覧表が建設業許可の第一歩
「役員等の一覧表」は単なる名簿ではなく、建設業許可の可否を左右する重要書類です。記載内容の正確性と添付書類の整合性が求められ、少しの記載漏れや記載ミスが許可の遅延・不許可につながるおそれがあります。
✨成功のポイントまとめ:
- 記載対象者の範囲を正しく理解
- 氏名・住所等は公的書類と一致させる
- 欠格要件の証明書類を漏れなく取得
- 更新・変更のタイミングで一覧表の再提出に注意
迷った場合や不安がある場合は、行政書士などの専門家への相談を検討しましょう。申請の質が、許可取得のスピードと確実性を大きく左右します。