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建設業許可申請:営業の沿革の書き方と記入例を徹底解説

建設業許可の申請において、提出書類のひとつに「営業の沿革(様式第二十号)」があります。本記事では、この営業の沿革の目的や記載内容、よくある注意点まで、制度に即した正確な情報とともに解説します。

目次

営業の沿革とは?建設業許可における役割と提出の必要性

営業の沿革とは、企業が過去どのような経緯で設立され、どのように事業を発展させてきたかを記載する時系列の記録です。主に、建設業許可の新規申請時に提出が求められます(※すべてのケースで必須ではないため、各自治体の要領を確認してください)。

この書類は、企業が一定期間継続して営業してきたことや、建設業に関する実績を示すための補足資料として扱われます。許可行政庁は、営業の沿革を通じて会社の歴史や活動内容を確認し、審査の参考とします。


提出が求められる主なケース

営業の沿革が必要になるのは、以下のような場面です。

  • 新たに建設業許可を取得する場合(特に法人設立から年数が経っている場合)
  • 個人事業主から法人化した際など、経営体制に大きな変更がある場合
  • 経営事項審査や指名競争入札への参加時に、任意提出を求められることがある場合

一方で、更新申請通常の変更届(役員変更・商号変更等)では、原則として営業の沿革の提出は求められません。


様式第二十号の内容と構成

営業の沿革は、「様式第二十号」(各都道府県や国土交通省が定めた標準様式)に基づいて記載します。内容は以下のような構成になっています。

主な記載項目内容の概要
商号・所在地現在の法人名と本店所在地
代表者名代表取締役など法人代表者の氏名
創業年月日初めて事業を開始した年月日
建設業許可・登録の履歴許可取得・更新・業種追加などの経緯
主な沿革事業内容の拡大、組織変更などの経緯
賞罰の有無行政処分や刑罰の履歴(なければ「なし」)

※各自治体によって様式の細部が異なる場合がありますので、最新の様式を確認しましょう。


書き方のポイントと記入例

沿革欄の書き方

  • 年月日ごとに、時系列で主要な出来事を簡潔に記載します。
  • 登記情報や過去の許可証を参考に、正確な日付と内容を記載しましょう。
  • 数値(売上高・利益など)は記載不要です。

記入例:

年月日主な出来事
2015年4月東京都新宿区にて○○建設を創業
2016年6月○○株式会社を設立し、法人化
2017年8月東京都知事より一般建設業(内装仕上工事業)を取得
2020年4月特定建設業(建築一式工事)を追加取得

記載が必要なその他の項目と注意点

建設業許可・登録の経緯

許可や登録の取得・追加・更新の履歴は、年表形式で簡潔に記載します。許可番号や有効期間の記載は不要であり、取得日や業種追加の日付に絞って記載しましょう。


賞罰の記載

行政処分や刑罰を受けた事実がある場合、その内容・日付・処分の種類(指示処分、営業停止、取消しなど)を正確に記載します。なければ「なし」と明記します。


よくあるケース別の取り扱い

経営業務の管理責任者や専任技術者の変更

これらの変更は「変更届出書」で行います。営業の沿革には原則として記載不要ですが、新規申請時に役職者の交代歴がある場合には、会社の沿革の一環として記載しても差し支えありません。


商号・所在地・資本金の変更

登記内容の変更は、「営業の沿革」においても主要な出来事として記載されます。例えば、以下のように記述します。

年月日主な出来事
2019年9月商号を「株式会社○○」に変更
2022年3月本店所在地を○○市から○○市に移転
2023年7月資本金を500万円から1,000万円に増資

よくある質問と実務対応

Q. 空白期間がある場合はどうすればいい?

→ 事業休止期間などがある場合は、「○○年〜○○年 休業」と明記し、理由も添えましょう。休業中の社内活動(例:研修、設備整備)なども記載できれば尚可です。


Q. 昔の資料が見つからない場合は?

→ 可能な範囲で当時の記憶や関係者への聞き取り、社内資料などから推定し、「推定」と明示した上で記載します。明確な証拠がない場合には、その旨を補足説明として記載しましょう。


Q. 虚偽の記載をするとどうなる?

→ 建設業法に基づき、許可の取消しや罰則(刑事罰を含む)の対象となります。沿革は必ず事実に基づいて記載してください。不明点は専門家や各自治体の担当窓口に確認を。


まとめ:営業の沿革は新規申請における信頼性の証明資料

営業の沿革は、建設業許可の新規申請時に企業の継続性と実績を示すための大切な書類です。過去の活動を整理し、簡潔かつ正確に記載することで、申請の信頼性が高まり、審査もスムーズになります。

初めての方や書き方に不安がある方は、行政書士などの専門家に相談することをおすすめします。事前の準備と正確な記載が、建設業許可取得への第一歩です。

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