建設業許可における「専任技術者の実務経験証明書」とは
建設業許可を取得するには、営業所ごとに一定の資格や経験を持つ「専任技術者」を配置することが必要です。特に、国家資格を持たない方が実務経験により専任技術者要件を満たす場合、その経験を第三者(発注者など)が証明する「実務経験証明書(様式第八号)」を提出する必要があります。
この記事では、この「実務経験証明書」を中心に、提出が求められる場面や書類の書き方、添付書類の種類などを分かりやすく解説します。
実務経験証明書が必要になるケースとは?
以下のような場面で、「実務経験証明書(様式第八号)」の提出が必要です:
- 資格を持たないが、実務経験により専任技術者要件を満たす場合
- 新規の建設業許可申請時
- 許可業種の追加申請時(追加業種に対する要件確認)
- 専任技術者の交代・変更時(後任者の要件確認)
※許可の「更新申請」では、変更がなければ通常提出は不要です。
実務経験の要件と確認方法
実務経験による専任技術者の認定を受けるには、以下の年数が必要です:
- 指定学科卒業者:実務経験3年
- 学歴不問:実務経験10年(許可業種に応じた工事)
証明する経験内容には、工事の名称・期間・場所・請負金額・職務内容が明記されていることが必要です。これらを裏付ける資料として、契約書、注文書、請書、請求書などの添付が求められます。
様式第八号の正しい書き方
1. 宛名・日付・申請区分の記載
- 宛名:都道府県知事または国土交通大臣
- 日付:作成日を元号で記載
- 申請区分:「新規」「追加」「変更」など該当項目に〇を記載
2. 技術者情報の記載
- 氏名・生年月日・住所は住民票と一致するよう正確に記載
- 外国人の場合は在留資格と業務内容の整合性も確認が必要
3. 実務経験内容の記載
- 「どのような工事に」「いつからいつまで」「何を担当したか」を具体的に記入
- 記載内容と添付資料の整合性が重要
添付書類:実務経験を裏付ける資料とは
提出先行政庁によっても若干異なりますが、以下が代表的です:
- 請負契約書、注文書、請書、請求書、領収書など(工事名・金額・期間の明記必須)
- 工事写真、仕様書、検査済証など(補足資料として)
- 発注者による実務経験証明書(様式第八号)
常勤性の確認資料
専任技術者は「常勤」が要件です。以下の資料で証明します:
- 社会保険被保険者証(事業所名入り)
- 住民税特別徴収に関する通知書
- 給与明細・在籍証明書・タイムカード等
行政庁により求められる資料は異なるため、事前確認が重要です。
書類提出前のチェックリスト
チェック項目 | 確認すべき内容 |
---|---|
申請区分 | 正しく選択・記載されているか |
技術者情報 | 氏名・住所・生年月日に誤りはないか |
実務経験内容 | 具体的かつ添付書類と一致しているか |
添付書類 | 契約書類等に不備がないか |
常勤性資料 | 最新のものであるか、事業所名が記載されているか |
行政書士に依頼するメリット
建設業許可申請には専門知識が必要で、実務経験証明書の記載ミスや添付不足により、申請が受理されないケースもあります。行政書士に依頼することで、以下のようなメリットがあります:
- 要件確認・適切な書類のアドバイス
- 添付資料のチェック・補足書類の案内
- 申請代行により手間を軽減
- 最新の法改正に対応したサポート
無料相談を実施している事務所も多いため、複数に見積もりを依頼し、自分に合った専門家を選ぶとよいでしょう。
まとめ:実務経験証明書で確実な許可取得を
実務経験による専任技術者の登録には、適切な証明書と裏付け資料の提出が不可欠です。記載ミスや添付不足は、許可申請の遅延や却下につながるリスクがあります。必要要件を正確に理解し、書類の整合性を確保することで、スムーズかつ確実な許可取得が可能になります。
不安がある場合は、建設業許可に詳しい行政書士の力を借りて、万全の体制で臨みましょう。