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建設業許可|タイル・れんが・ブロック工事業を取得するための完全ガイド

建物の外観や内装に、美しさと耐久性を与えるタイルやれんが、コンクリートブロック。これらを使った工事を本格的に請け負うには、建設業許可の取得が重要です。この記事では、初めて許可取得を目指す方に向けて、必要な要件や手続き、注意点を、誤解しやすいポイントも含めて分かりやすく解説します。

目次

タイル・れんが・ブロック工事業とは

国土交通省の業種区分では、タイル張り、れんが積み、コンクリートブロック積みのほか、スレート張りやサイディング工事もこの業種に含まれます。これらの工事は、建物の内外装や構造物の仕上げとして、デザイン性と耐久性を両立させる重要な役割を担います。

一方で、似ているようでも別の業種に分類される工事があります。例えば、ブロック舗装は「舗装工事業」、コンクリートブロックによる擁壁は規模や構造により「石工事業」または「とび・土工・コンクリート工事業」に区分されます。この線引きを誤ると、間違った許可で施工することになり、法令違反になるおそれがあります。

許可が必要な場合と不要な場合

建設業許可が必要になるのは、軽微な工事の範囲を超える工事を反復して請け負う場合です。軽微な工事とは、建築一式工事以外では「1件の請負金額(材料費込み)が税込500万円未満」の工事を指します。この金額以内の工事しか行わない場合は、許可は不要です。

ただし、公共工事を入札で受注するには、金額に関わらず許可と経営事項審査(経審)が事実上必要です。将来、公共工事や大規模工事を視野に入れるのであれば、早めに許可取得を検討した方が良いでしょう。

専任技術者の要件

許可を取るには、営業所ごとに「専任技術者」を常勤で配置する必要があります。タイル・れんが・ブロック工事業で専任技術者になるためには、次のいずれかを満たす必要があります。

一つは、国が認める一定の資格を持つことです。代表的な資格には、1級・2級建築施工管理技士(躯体・仕上げ)、1級・2級建築士、タイル張り技能士、れんが積み技能士、ブロック建築技能士などがあります。資格によっては、他業種の許可でも通用しますが、必ず自治体の資格要件表で当該業種に使えるか確認してください。

もう一つは、資格がなくても「実務経験」で要件を満たす方法です。当該業種の施工に関する技術上の職務経験が、通算で10年以上あれば専任技術者になれます。指定学科(本業種では「建築学」または「土木工学」)を卒業している場合は、必要経験年数が短縮されます(大学卒は3年以上、高校・専門学校卒は5年以上)。実務経験を証明するには、契約書、請求書、工事写真、工事経歴書など、第三者が確認できる客観的資料が必要です。

許可申請の流れと書類

申請先は、営業所が1都道府県内だけなら都道府県知事、2つ以上の都道府県に営業所がある場合は国土交通大臣です。営業可能な地域は許可区分によって制限されません。

申請は、必要書類を揃えて窓口に提出します。電子申請に対応している自治体もあります。提出書類には、申請書、会社の登記事項証明書、財務諸表、役員や専任技術者の証明資料、納税証明書などがあります。押印は原則不要になっていますが、自治体によっては本人確認資料の提出を求められることがあります。

書類に不備があれば受理されないこともあるため、提出前の点検が重要です。不安があれば、行政書士などの専門家に相談するのが確実です。

許可取得後の義務と注意点

許可の有効期間は5年間です。更新申請は多くの自治体で「満了日の30日前までに受付完了」が必要とされています。うっかり期限を過ぎると許可が失効してしまうため、余裕をもって準備しましょう。

商号や所在地、役員などに変更があった場合は、原則30日以内(内容により14日以内)に変更届を提出します。期限や添付書類は各自治体の手引きを確認してください。

また、毎事業年度終了後4か月以内に「決算変更届(事業年度終了届)」を提出しなければなりません。添付資料には工事経歴書、直前3年の工事施工金額、財務諸表、納税証明書などがあり、提出を怠ると更新が認められない場合もあります。

まとめ:正しい許可で信頼される施工業者に

タイル・れんが・ブロック工事業の許可は、単に法律上の要件を満たすだけでなく、顧客や発注者からの信頼を得るための大切な基盤です。類似業種との線引きを誤らないこと、専任技術者の要件を正しく満たすこと、申請書類を丁寧に整えることが成功への近道です。

許可を取った後も、更新や変更届、年次報告といった義務を確実に果たし、安全で高品質な施工を積み重ねることが、長く事業を続けるための鍵となります。最新の法改正や技術動向にも目を向けながら、信頼される施工業者として成長していきましょう。

監修者プロフィール

西條 朋美(にしじょう ともみ)
行政書士
長野県行政書士会所属
MACKコンサルタンツグループ 小林行政書士事務所

制度を正しく理解し、事業者の皆さまが安心して事業を継続できるように——。そのお手伝いをするのが行政書士の役目です。建なびでは、読者に寄り添った解説を心がけています。ぜひご活用ください。

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